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執筆者の写真Misawa Sayaka

第10回浜松国際コンクールで思うこと。

2018年、今年の浜松国際コンクールに行ってきました〜〜!

いやぁ、皆さん素晴らしかったです!

そしてそして、ちょっと色々と思うことがあったので、アウトプットしたいと思います。

浜松国際コンクールは、国内において権威ある国際コンクールとして知られています。

3年に1度の浜松のお祭りのような雰囲気で、現地は盛り上がっていました。

(ショパンコンクールでも優勝したチョ・ソンジンや私が好きなガヴリリュクなども、このコンクールで1位になっています。)

第10回にあたる今年は、当サロンでも全力で応援し活躍している務川慧悟さんが、なんとファイナリストとして演奏されたのでした!!

いつも以上に、スタッフ全員がとても楽しみにしていました。

すでに3次予選で演奏されたバッハのシャコンヌで、心が震えるほどの演奏を披露されていたようですが…。

こちら視聴が可能なようですので、是非。

他のファイナリストさんたちや、惜しくも本選までは残らなかった音楽家さんの皆さんも、各々の素晴らしい演奏を披露してくだいました。 感動を本当にありがとうございました!

そして、大変におつかれさまでした!!

千葉遥一郎さんや太田糸音さんなど、サロンで演奏された音楽家さんもちらほら見られて、陰ながら、とても嬉しかったです。

皆さんに、大きな拍手を送りたいです。

さてさて、話しは戻ります。

務川さんはファイナリスト6人のうち、順番は1番目。

相当なプレッシャーであり、最も会場の緊張感も高く、決して有利ではなかった順番だったと思います。

ですが、実際の彼の演奏はそんなことも忘れてしまうくらい、

大変に見事なものでした!

1番目なのに、演奏後のブラボーもたくさん…!

オーケストラとの一体感はもちろんのこと、音楽と一心同体となっていて

ピアノを弾いているというよりは、音楽を紡ぎ出しているという表現のほうがしっくりきました。

とにもかくにも、簡単に言葉に表せないほどに感動しました。

まさに、正真正銘の"本気"の演奏 ──

それは単に表面的で感情的なものではなく、内面から滲みでるような、確かな説得力のある音楽として伝わってきました。

「僕にとっての音楽がそうであったように、音楽が心の支えになるようなそんな演奏を届けられたらと思っています。」と以前、話していた務川さん。 彼の演奏には凄味はもちろんのこと、そういった寄り添うような優しさや、あたたかい感動、作品に対する敬意と愛が詰まっているように感じます。

なので、今回の審査結果はとても残念というか…

それを通り越して疑問すら残るものとなりました。

また、審査基準が不明瞭であったのも、残念でした。

弊社代表の渡辺はいわゆる評価のプロなので、常々評価についての考え方やあるべき姿を考えさせられることが多々ありますが、今回は特にそれを感じました。

<第10回 浜松国際コンクール 本選審査結>

第1位 ジャン・チャクムル(室内楽賞/札幌市長賞) 第2位 牛田智大(聴衆賞/ワルシャワ市長賞) 第3位 イ・ヒョク 第4位 今田篤 第5位 務川慧悟 第6位 安並貴史 梅田智也(日本人作品最優秀演奏賞) アンドレイ・イリューシキン(奨励賞)

もちろん、順位がつけられないくらいそれぞれ素晴らしく、なるほど思う部分もある結果ではあるのですが…

さすがに務川さんが5位と発表された瞬間、会場がざわつきました。

もちろん、この抽象的な音楽の世界において、聴いた人みんなが一致するような順位というのは無く、聴衆それぞれが思い思いの1位から5位があって良いと思います!

ですが、厳正な審査というからには、程度問題はあるかなぁと思います。

コンクールにしても、コンサートにしても

この場所にふさわしいミッションや目的を見失うなってしまうようでは、権威を失いかねません。

そういう意味では、一種のブランド構築に近いと思います。

誰のための、何のための、どんな使命を持った、ステージであるべきか。

演奏家さんは、日々鍛錬を積み、そういったものに嘘偽りなく向き合い、

音楽を通じて私たちに大事なことを純粋に伝えようとします。

そして、聴衆である私たちはそれらを感動というかたちで受け取ります。

音楽をとおして(人生をかけて)真理を伝え続ける伝道師とも言えます。

これは本当に大変なことだと思いますし、とっても尊いことですね。

そして、それらを守る役目でもある私たちのようやマネジメントや運営側(教育者もそうとも言えるかもしれません)は、それを軽く扱うことは許されません。

大きな力や権力は、時として、そのたった一存で、風向きをいとも簡単に変えることができてしまいます。

それが正しいか正しくないかは、トップの人の力量や"器"によって大幅に変わります。

短期的視点で出してしまった間違った結果に「まぁこんなものか、良かった良かった」と簡単に片付けられるほど、彼らのしてきた努力というのは薄っぺらいものなのでしょうか。

こんな投稿するもんじゃないというのはわかっていますし、

別の視点で見れば正しい評価ともとれるのは、よくわかります。

こんな問題ですら、大きな世界ではちっぽけなことというものわかっています。

ですが、誰かが「違う」と言わなければ、クラシック音楽の本質すら間違ったものとして伝わってしまうような危機感がありましたので…

心苦しくも筆を執った次第です。。。

よく、「ものが売れない時代になってきた。なぜなら、消費者がインターネットの普及により情報をとれるようになってきたため、選択眼を持って賢くものを選ぶようになってきたからだ。」

なんて話しを聞きますが、クラシック音楽はこの点においては、大変に遅れをとっているなぁといった印象です。

この時代において、注目されるのは「コンクールで何位をとった」といったように多くがコンクール主義であったり「誰々が売れている」といった商業主義です。

それがいわゆるパッケージだとしたら、中身はどうでしょうか。

この演奏家さんのこういう本質的要素が素晴らしい、と中身を語れる人はどれくらいいるのでしょうか。

もちろん、私たちも多少なりとも気にするからこそ、多くのコンクールやコンサートに足を運ぶわけですし、まったく無視すれば良いかといえば、それは間違いだと思います。

きっかけは大事です。

ですが、その大元となる情報源そのものが評価基準すらわからない、疑問を感じる情報だったとしたら…?

聴衆は本物に触れる機会が少なくなってしまうどころか、間違ったものを本当のこととして捉えてしまう可能性すらあります。

個人的には、これは大変なことだと認識します。

とはいえ、そもそもの市場規模が小さいのだから、まずはシェアの拡大を目指すべきだという意見も、もちろん納得できますし、そういった枠も世の中には必要です。

それぞれの信念があって良いのです!

歯車は遊びがあるから回るのです。

遊びの部分も当然、必要ですね。

ですが、一番コアな部分を無視しての、商品は成り立たないと思いませんか?

真ん中のコアな部分があって、はじめて表面的な要素が成り立つのであって。

いちごの無いいちご大福なんてないでしょ。

・・・はて?

なぜかいちご大福が出てきてしまって、よくわからなくなってきたので、

そろそろまとめます。笑

そして、これはこれ、それはそれ、といった具合に…

私たちはわたしたちのやるべきことをやるだけです。

こんな発信もその一環でしかありません。

美竹清花さろんは、本物を目指す音楽家さんにとって、少しでも力になれる場所となれれば嬉しいです!

彼らが"芸術家として"目指すものであったり、信念を自然体にぶつけることができる、嘘偽りのない場所にしたいです!

そして、本物の蜜を嗅ぎ分けてお越しくださるお客様と、感動を共有していき、輪が広がっていけばいいなぁと。

本来、サロン活動とはそういうものです。

良いものを良いものとして扱う。

それに共感して、人々が集まる。

当然のごとく自然なことなのに、

どこかにありそうで、どこにもないものです。

色々と書きましたが、シンプルにこれだけです。

歴史を辿ってみて大きな流れて捉えると、

自分が生きているうちにできることなんか、ほんのわずかだなぁと…自分の非力さに落ち込むことがあります。笑

それでも、ほんの少しでも爪痕が残せればいっか、なんて、気楽に考えます。

価値のない人なんていない。

だからそれぞれ自分が信じるものを、思いっきりやればいい。

そう思います。

そんなことを風邪を引きながらも、ずっと考えていたのでした。

今回、体験しなければ気付かなかったこともたくさんあり、

考えるきっかけにもなった浜松国際コンクールに感謝です。

そして改めて、コンテスタントの皆さん、感動をありがとうございました!! ゆっくり休んでください。


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